グリチルリチン酸
グリチルリチン酸【概要】
- グリチルリチン酸は漢方薬で知られる甘草の有効成分。
- グリチルリチン酸は強力な抗炎症作用を持っている。
- グリチルリチン酸はステロイド剤に似た副作用の危険性がある。
グリチルリチン酸はマメ科の植物である甘草(カンゾウ)の根に含まれる有効成分です。グリチルリチン酸はしょ糖の50倍の甘さを持つと言われ、古くから調味料や菓子などに利用されています。グリチルリチン酸の年間生産量の約半分は食品添加物として使われていると言われます。
グリチルリチン酸を含む甘草は漢方薬の中心的な成分でもあり、およそ七割の漢方薬には甘草が含まれていると言われます。
グリチルリチン酸の効果・効能
グリチルリチン酸のもっとも知られている効果・効能は強力な抗炎症作用で、医薬品にも用いられています。
グリチルリチン酸は抵抗力の根源である副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の作用を持続させる働きがあります。この副腎皮質ホルモン(コルチゾール)は強力な抗炎症作用を持っているため、アレルギー疾患やアトピー性皮膚炎、喘息や膠原病などに効果的とされています。
さらに、グリチルリチン酸にはウイルスに対する抵抗力を高める効果があることも認められています。この作用は、うがい薬や歯みがき粉などに配合されて生かされています。
また、グリチルリチン酸を含む甘草は体内の水を保つ働きがあります。甘草を多く含む芍薬甘草湯という漢方薬はこむら返り(腓返り)の特効薬とも言われています。
その他、グリチルリチン酸は肝機能の増強作用、解毒作用など多種多様な生理作用をもっています。近年の研究では、グリチルリチン酸の化学構造を変えることで、新たな活性物質の働きが期待されており、すでにある種のガン細胞に対して有効なものが発見されたと報告されています。また、エイズウイルスにも有効であるという報告もあり、今なお研究が進められている成分です。
グリチルリチン酸の副作用・注意点
グリチルリチン酸が活性化させる副腎皮質ホルモン(コルチゾール)は強力な抗炎症作用を発揮する反面、いくつかの副作用を起こす危険性を持っています。
副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の作用が長引くことによる主な症状として高血圧、浮腫(むくみ)、低カリウム血症、尿量減少などがあります。これらは偽性アルドステロン症と呼ばれ、ステロイド剤の副作用との類似点も指摘されています。
グリチルリチン酸を含む薬品や漢方薬を長期間服用した場合、偽性アルドステロン症が発症する恐れがあります。その時はすぐにそれらの服用を止めましょう。通常は2~3日で症状が治まると言われます。
グリチルリチン酸は作用が比較的強い成分ですので、異常を感じたらすぐに医師に相談しましょう。
グリチルリチン酸の効果・効能があると思われるもの
グリチルリチン酸には以下のような効果・効能が期待できます。
■グリチルリチン酸が含まれる食品例
グリチルリチン酸が含まれる食品には以下のようなものがあります。