脳
脳【概要】
現代のコンピューター技術ですら及ばないと言われるのが人間の脳です。その一方で、簡単な漢字が思い出せない、集中力が続かないなど不都合を感じることが多いのも事実です。日々たくさんの情報を処理する脳機能のメカニズムと脳の健やかさを保つ成分をご紹介します。
脳の構造
脳は大脳と小脳、そして脳幹からなり、全重量の約8割を大脳が占めています。脳は体の隅々から送られる情報を受け取って判断し、体の各部に命令を与える、いわば人体の中枢機関です。なかでも、大脳の表面を覆う大脳皮質は、ものを感じる、記憶する、考える、言葉を話すといった活動を支配しています。
大脳の構造
大脳は左右2つの半球に分かれており、その真ん中を通る脳梁によってつながっています。体の運動指令は、右脳・左脳のどちらからも出されますが、左半身の命令は右脳が、右半身の命令は左脳が受け持ちます。
また右脳と左脳には、はっきりとした役割分担があります。右脳は物事を直感的に捉える、想像力を発揮するなど、感覚的な事柄に関する働きを担っています。例えば、ものの形を識別する、絵を描く、音楽を演奏するといったときです。芸術家などに左利きが多いのはこのためかもしれません。
一方、左脳は理論的な分野に関する働きを担っています。例えば読む、書く、話すなどの言語活動や計算する時などです。言葉を聞き分ける「感覚性言語野」と言葉を話す「運動性言語野」は、6歳までに左脳に作られます。
脳に必要な栄養素
脳の重さは体重の約2%ですが、そのエネルギー消費量は、運動などをしていない状態の場合、全身の約20%を占めると言われています。
筋肉は、ブドウ糖のほか脂質もエネルギー源として利用できますが、脳はブドウ糖しか使うことができません。そのため人体は、食事と食事の間にも肝臓などに蓄えられているブドウ糖を放出し、一定の血糖値を保つ仕組みが備わっています。しかし大量に蓄えておくことはできないため、効率良く脳を働かせるには、3食をきちんととり、血糖値を上げることが大切です。
また、脳がブドウ糖を燃やしてエネルギーにするときには、酸素が欠かせません。脳は酸素欠乏にとても弱く、血流が途絶え酸素の供給がなくなると、わずか4分で生存率が半分になってしまいます。あくびは脳が軽い酸欠状態になっている証拠です。あくびが連続して出るようであれば、窓を開けて部屋の空気を入れ換え、深呼吸をして脳に十分な酸素を送り込むようにしましょう。
脳機能を活性化させるサプリメント
記憶力や集中力など、脳機能を活性化させるにはバランスのとれた食事や適度な運動を基本とした生活習慣を整えることが大切です。また、脳に存在する成分や血流に働きかける成分を補うことも役立つと言われています。
脳機能を活性化させる成分
●イチョウ葉
脳は他の臓器に比べて大量の酸素を必要とします。そのため血流を改善することが、脳に十分な酸素や栄養を運び、脳機能の活性化につながります。イチョウ葉にはフラボノイドとテルペンラクトンという特長成分が含まれており、血小板凝集抑制、血管拡張、抗酸化など多角的に作用します。これは血流を改善し、さらに活性酸素を消去する働きにつながり、脳機能を活性化させます。
●DHA
脳の中で、記憶学習の機能に関わる「海馬」に多く存在するのが、魚介類に含まれるDHAです。DHAは低温でも固まりにくく、非常に柔らかい性質をもつため、血管壁や赤血球などの細胞膜を柔軟にし、脳の情報伝達をスムーズにする働きがあることが分かっています。
●GABA(ギャバ)
GABA(ギャバ)は体内・脳内に存在するアミノ酸の一種です。DHAと同じく「海馬」に多く含まれています。GABA(ギャバ)は思考力・記憶力といった脳の働きを正常に保つ働きがある他、抑制性神経伝達物質としても作用します。
●PS(ホスファチジルセリン)
PS(ホスファチジルセリン)は脳全体の神経細胞膜に多く集まっていることから「脳の栄養素」とも呼ばれています。詳しいメカニズムは明らかにされていませんが、脳唯一のエネルギー源であるブドウ糖の代謝を活発にするほか、神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌促進、神経細胞の維持による脳機能改善作用があると言われています。
●ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸
ビタミンB群は、脳の働きや精神状態と深い関わりのあるビタミンです。なかでも、ビタミンB6はセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ギャバなどの重要な神経伝達物質の合成に欠かせません。また認知症患者は脳内のビタミンB12濃度が低いという報告があることから、脳が正常に機能するために需要な働きをしていると考えられます。この他、葉酸も神経細胞の働きに関わる重要な成分です。
脳機能を悪影響を及ぼすストレス
人間が健康を保つためには、興奮と鎮静のバランスをとることが不可欠です。ストレスによってそのバランスが崩れ、血圧上昇や血管収縮の状態が続くことは、脳の血管障害にもつながり、脳機能にも悪影響を及ぼします。
また、脳は脂質が多く存在するため、ストレスによって発生する過剰な活性酸素によるダメージを受けやすい器官です。細胞膜にたまった過酸化脂質は、細胞そのものを破壊し、脳の老化を加速させる原因にもなるため注意が必要です。
脳に効果・効能があると思われる食品成分
脳に効果・効能があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。