脳卒中
脳卒中【概要】
脳卒中とは脳の血管になんらかの障害が起こり、脳神経細胞が損傷を受けたり壊死(えし)に陥る病気の総称として用いられます。脳卒中のことを正確に言うと「脳の血管になんらかの障害が起こること」もしくはそれに伴う症状や状態を指します。脳の神経細胞は、血流がとだえると酸素や栄養分の供給を受けることができなくなり、こうした状態が4~5分間続くと、修復不可能になります。
脳卒中に関するポイント
・脳卒中とは脳の血管が詰まったり、破れることによって起こる状態やそれに伴う症状のことです。
・脳卒中は前兆(前触れの症状)を見逃さないことが大事です。
・脳卒中の予防には、血圧、コレステロール、血糖値の管理が不可欠です。
脳卒中の主な原因
脳卒中は、脳血管の動脈硬化に加えて、血栓ができることが原因です。従って動脈硬化や血栓をつくる要因は、すべて危険因子と考えてよいでしょう。なかでも最大の危険因子といえるのが高血圧です。動脈硬化を促進させ、血管内腔(ないくう:血液の通り道)を狭めたり、血管を傷つけるなど、かなり大きなダメージを与えます。
そのほか、動脈硬化を進行させたり、血栓をできやすくさせる糖尿病や高脂血症、不整脈や狭心症などの心臓病、高尿酸血症といった病気も重大な危険因子といえます。さらに、これらの病気を招く肥満や喫煙、大量の飲酒、ストレスも危険因子として挙げられます。
脳卒中の主な病気
脳卒中になると体の麻痺や意識障害などのさまざまな症状があらわれます。脳の血管に障害が起こる病気としては、以下の三つがあります。
●脳梗塞(のうこうそく)
脳の血管でできた血栓(けっせん)が詰まって起こる「脳血栓」と、脳以外の場所でできた血栓が血流に乗って脳血管に流れてきて詰まる「脳塞栓(そくせん)」の二つがあります。なかでも、不整脈や狭心症などの病気によって心臓でできた血栓が原因となる「心原性脳塞栓症」が多く見られます。脳梗塞では、血栓が詰まったために血流が阻害されて、脳神経細胞が損傷を受けます。
●脳出血
脳血管が動脈硬化によってもろくなっており、そこに高血圧が加わることによって血管が破れて、脳内で出血するものです。脳内に血腫(けっしゅ)ができ、これが脳神経細胞を圧迫して脳にむくみが起こると、さらに損傷が大きくなります。かつては脳血管障害のなかで最も多かったのですが、近年では減少傾向にあります。
●くも膜下出血
脳動脈瘤(りゅう)破裂ともいい、脳を覆う軟膜とくも膜の間で出血が起こるものです。脳動脈に瘤(こぶ)ができ、高血圧によって瘤が破裂して出血することが原因です。先天的に脳の動静脈に異常があるために起こることもあり、この場合は比較的若い年齢の人に発生します。脳卒中のなかでは最も死亡する危険が高く、発症直後の緊急処置が生死を分けるといえます。
脳卒中の前兆・症状
脳卒中の発作では、意識を失って昏倒(こんとう)したり、左右どちらかの手足のまひやしびれが起こる、感覚がなくなる、ろれつが回らない、しゃべれない、けいれんを起こす、フラフラして歩けないなどの症状が見られますが、脳のどこに障害が起こったかによって、症状やその程度はまちまちです。
したがって脳卒中の前兆も様々なものがありますが、いくつかの例として以下のものがあります。
●左右のどちらかの目が見えにくい
目がかすんだり、二重にダブって見える。両目におこることもある。
●箸やペンを落とす
突然、力が抜けたようになり、ポロリと物を落とす。
●からだの左右どちらかにしぶれがある
脱力感や感覚が鈍くなったような感じがある。
●一定期間の記憶がない
ぽっかりと記憶がない、思い出せないことがある。
●ろれつが回らない、食べ物をこぼす
言葉が出てこなくなったり、理解できない。左右どちらかの口の端から水や食べ物がこぼれることもある。
●軽い発作性の頭痛がある
頭痛もちでもないのに、くり返し頭痛が起こる。
●物が二重にダブって見える
目がかすんだり、ぼやける。疲れ目と勘違いしやすい。
●頭が割れるような強い頭痛は危険
激痛は出血が起こった可能性大ですので大至急病院へ行きましょう。
脳卒中の予防
脳卒中の予防で一番重要なことは高血圧を防ぐことです。高血圧を防ぐには塩分を控えることが必要ですが、それよりも食事を基本とした生活習慣に気をつけることが重要です。具体的には以下のようなことが脳卒中の予防につながります。
●バランスの良い食生活
●適度な運動
●過労・睡眠不足を避ける
●たばこを控える
●お酒はほどほどにする
※お酒(アルコール)は適量(約20g)であれば健康に良いですがそれを超えると脳卒中の発生率が高まります。
●ストレスをため込まない
●急激な温度変化を避ける
●トイレにおける排便時の際、いきまない
●定期的な健康診断を受ける
脳卒中の治療
脳卒中で血管が詰まった場合は血流を再開させるための治療が、出血が起こっているときは止血して、再出血を防ぐための処置が必要となります。
●脳梗塞の治療
脳梗塞が起こった直後は、脳に浮腫(ふしゅ:むくみ)が起こることがあり、それによって脳が圧迫されると、さらに脳神経細胞がダメージを受けます。
急性期には薬で脳の浮腫をとる治療を行います。その後、血流を再開するために血栓(けっせん)を溶かす治療へと進みます。脳梗塞ではほとんどは内科的治療で済みますが、効果が得られない場合や再発を予防するためには、詰まった血管を再建したり、バルーン・カテーテルを使って詰まった血管内腔(ないくう)を広げる処置を行います。
●脳出血の治療
脳梗塞と同じく、急性期には脳の浮腫を抑える治療を行います。血圧が高いままだと出血が止まらないため、血圧を下げる治療も必要ですが、急激に血圧を下げると危険なので、ゆっくりとようすを見ながら血圧を下げていきます。出血によって大きな血腫(けっしゅ)ができて、それが脳を圧迫するようなときは、血腫を取り除くために外科手術を行ったり、チューブを挿入して吸引する処置を行います。
●くも膜下出血の治療
くも膜下出血が起こった直後は血圧が高くなっており、出血しやすいため、薬で血圧を下げます。また、最初の出血から24時間以内に再出血を起こすことがあり、これによって死亡することが多いため、なるべく早い段階で外科手術を行って、再出血を防ぎます。
クリッピング法は開頭手術をして、動脈瘤(りゅう)の根元をクリップで留めて破裂を防ぐ方法です。コイル法は、太ももの動脈からカテーテルを挿入して、動脈瘤内にコイルを置く方法です。コイルによって瘤の中で血液がかたまるので、破裂しなくなります。そのほか、血管が破裂しないように補強するコーティング法、ラッピング法などの処置があります。
脳卒中に効果・効能があると思われる食品成分
脳卒中に効果・効能があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。