糖尿病
糖尿病【概要】
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)がふえ過ぎた状態が慢性的に続く病気です。血液中のブドウ糖(血糖)がふえ過ぎると、尿に糖が出るだけでなく、神経や血管が糖漬けになっておかされ、さまざまな障害があらわれてきます。こうした障害を合併症といいます。糖尿病の合併症は広く全身におよぶだけでなく、生命に危険があるものや生活の質を著しく低下させるため、非常に深刻です。
糖尿病のポイント
●糖尿病は40歳以上の5人に1人がかかっている。食事・生活療法が治療のカギ。
●糖尿病は血液中のブドウ糖がふえ過ぎて尿に糖が出る病気。
●糖尿病の合併症は全身におよぶ。生命の危険もある怖いものもある。
●糖尿病は食事療法と運動療法による血糖コントロールが必須。
糖尿病の主な症状
●だるい、疲れやすい
糖尿病になるとインスリンの作用不足でブドウ糖を利用できず、活動エネルギーが足りないため体がだるくなったり、疲れやすくなります。
●尿の量がふえる。トイレに行く回数が多い
糖尿病になると大量のブドウ糖を尿として排出しようとするため、尿量、排尿回数とも増えます。
●やたら喉が渇く
糖尿病になると大量のブドウ糖を排出するため尿量が増え、体の水分が失われ喉が渇くようになります。
●空腹感が強く、よく食べる
糖尿病になるとブドウ糖が正常に利用されないため、エネルギー不足を補おうとして空腹感が強くなり、大食になる傾向があります。
●食べているのに、やせてきた
糖尿病になると食べてもブドウ糖が正常に利用されず、慢性的なエネルギー不足の状態になっているため体重が減る傾向があります。
糖尿病の主な原因
糖尿病は膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンの量が不足したり、働きが十分でなくなることにより血糖のコントロールができなくなることが原因で発症します。
糖尿病の原因には、遺伝的な要因に加えて、食べ過ぎや飲み過ぎなどの食生活の乱れ、運動不足などの生活習慣と、それに伴う肥満、ストレスなどです。こうした原因が長年積み重なってくると、インスリンを分泌する膵臓を疲労させ、糖尿病へと進行させることになります。
糖尿病の合併症
糖尿病に特有な合併症として「糖尿病の三大合併症」と言われているものがあります。「糖尿病の三大合併症」とは「糖尿病網膜(もうまく)症」「糖尿病腎(じん)症」「糖尿病性神経障害」の三つです。
「糖尿病網膜症」は目の網膜に異常が起こるもので、視力低下や失明の危険があります。「糖尿病腎症」は腎臓の細い血管が障害されて、腎機能の低下を起こすもので、腎不全にまで至ると人工透析が必要になります。「糖尿病性神経障害」は知覚神経や自律神経が障害され、手足の知覚鈍麻(どんま)やまひのほか、排泄(はいせつ)障害や消化器症状、インポテンスなどが起こります。
その他、命に関わる糖尿病の合併症として「心筋梗塞(こうそく)」や「脳梗塞」、肢(かし)の動脈が詰まる「閉塞(へいそく)性動脈硬化症」などもあります。
糖尿病の治療法
糖尿病の治療法は運動療法や食事療法などの生活の改善が中心です。ただ血糖値が異常に高く、早急に下げる必要があるときは薬物療法が必要です。糖尿病の薬物療法には飲み薬による治療とインスリンを自己注射するインスリン療法があります。
糖尿病の治療では運動療法は不可欠です。患者の多くは肥満、あるいは太り気味のことが多く、まずは減量が必要なことが多いからです。運動の内容はウォーキング、水泳、自転車などがおすすめですがどんなものでもよいです。重要なのは適度な運動を毎日少しでも良いので長く続けることです。運動する時は空腹時を避け、食後30分~1時間後の血糖値が上昇するころに行うのが良いです。
食事療法も糖尿病の治療に不可欠です。肥満している人は減量の目的もありますが、なにより血糖値を良好にコントロールするには、食事でとる糖質や脂質をある程度制限する必要があります。
食事療法を行ううえで、まず確認しておくべきことは「指示エネルギー」です。指示エネルギーとは、患者個人の性別や年齢、活動状態(仕事や家事などの労働の強度)、現在の体重などから計算し、さらに病気の進行具合や合併症の有無によって医師が考慮した数値です。この指示エネルギーの範囲内を守って毎日3食の献立を考え、食事療法を行います。
さらに、食事の内容や食事をする時間、食べ方にも注意が必要です。大事なのは、1日3食の摂取エネルギーをほぼ均等に分配し、栄養バランスのとれた食事をすることです。
糖尿病の人に効果がある食品・食事
【血糖値の急上昇を抑える】
●玄米・胚芽米
精白米よりも食物繊維が豊富。糖質の代謝に欠かせないビタミンB1も多い。玄米に含まれるギャバは血糖値、コレステロールの低下作用もあります。
●そば
ポリフェノールの一種、ルチンが膵臓(すいぞう)のはたらきを高めます。
●やまいも
ネバネバは食物繊維のムチンという成分で、腸内で糖質を包み込んで消化をゆっくりにさせます。ムチンはビタミンB1のはたらきを助けます。
●さといも
やまいもと同じく、ムチンが糖質の吸収をゆるやかにします。
【血糖値を下げやすくする】
●はとむぎ
インスリンの合成に必要な亜鉛やマグネシウムを含みます。
●たまねぎ
におい成分のイオウ化合物がインスリンのはたらきを高める。辛味成分はブドウ糖の消費を促します。
●大豆、黒大豆
ビタミンB1が豊富。大豆レシチンとグリシニンには中性脂肪、コレステロール低下作用もあります。
●納豆
脂質の代謝に必要などタミンB2が豊富。ナットウキナーゼという成分には血栓予防・血栓溶解作用があります。
【低エネルギー食品】
●きのこ類
食物繊維、ビタミンB1が豊富。まいたけの成分には血糖降下作用もあります。
●海藻類
食物繊維が豊富なうえ、インスリンに必要なクロム、マグネシウムなどのミネラル頬も多く含みます。
●こんにゃく
水溶性食物繊維が糖質や脂質の吸収を抑えます。
糖尿病に効果・効能があると思われる食品成分
糖尿病に効果・効能があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。